甲谷匡賛作品展「一畳百色」



今週、京都で甲谷匡賛さんの、パソコンによる作品展がある。
そのお知らせです。


甲谷さんは、京都で手技の施術院を開き多くの治療を行ってきた方。


僕の師事する舞踏の由良部正美先生をはじめ、ダンサーの岩下徹さん、ヤザキタケシさん、舞踏の山下せつ子さんなど錚々たるメンバーが甲谷さんのもとを訪れ、薫風を受けている(甲谷さん支援の会・立ち上げの集まりに同席させて頂いたとき、上記の方が山田せつ子さん以外全員出席しておられて驚いた)。



今、甲谷さんはALS、筋萎縮性側索硬化症という病気にかかっている。これは、あの宇宙科学のホーキング博士がかかったことで有名な、体中の筋肉神経が冒される病気だ。



以下、主催者の由良部先生の挨拶文を、転載させていただきます。



 この展覧会では、甲谷匡賛氏がALS(筋萎縮性側索硬化症)の病床から生み出した作品をご紹介いたします。ALSはすべての運動筋が次第に萎縮し、最後には呼吸もまばたきもできなくなる、原因も治療法も解らない難病です。また、運動筋は冒されても、その他の感覚、自律神経、頭脳はなんら冒されないという特異な特徴も持っています。そのため、この病に冒された体と向き合う心理的葛藤には特別なものがあります。


 発病前の甲谷氏は、手技の療術院を開き、多くの人の治療を行なってきました。また、ヨーガや武道にも秀で、芸術や社会の問題の核心に常に「からだ」を据えていました。その彼の薫陶を受けた人はたくさんいますが、それは、彼の並外れたからだに対する知覚力の他に、ある種の思想性と芸術的感性があったからです。


 そして今、日々からだと向き合ってきた彼が、究極的とも言えるような自らのからだとの向き合いを科せられています。そこには確かに大変な苦痛、葛藤、不安がありますが、同時に彼は、今のからだに対する気づきは発病前の数十倍に匹敵すると言っています。


 私たちが、どのような生を生きたとしても、座って半畳、寝て一畳の私たちのからだは普遍です。日々忙しく過ごす私たちにとって、からだと向き合う事は稀になっています。そのような私たちにとって、甲谷氏の作品や病と向き合う姿勢から学ぶ事は大きいと思います。


 展覧会の作品は全てパソコンのソフトにより描かれています。甲谷氏が現在唯一可能な表現手段がパソコンであり、制作には大変な時間と労力を伴います。しかし、生み出された作品には、色彩のきらめきや躍動するモチーフの中に、自らの運命やからだとの向き合いの中でのぎりぎりの命の輝きが表現されています。


 個展においては「作家の置かれた環境ではなく、作品そのものの価値が問われるべき」との考えもあるでしょうが、今展においては作品と作家の体験は切り離せないものと考えます。そこで、展覧会会場では、甲谷氏の作品のみでなく、ALSに関する情報や、甲谷氏の病の中での様々な言葉、体験等をご紹介したいと思います。


 この展覧会をご覧になった方々に、ひととき「からだ」へ思いを巡らせていただくことが出来ましたら幸甚です。    


2005年12月 甲谷匡賛作品展実行委員会       代表 由良部正美

甲谷さんのHPより)


朝日新聞NHKニュースに取り上げられたということで、続々来場されているらしい。

今週22日(日)まで、京都・烏丸夷川にて。

無料。

僕もどこかで休みとって、行きたい。




最後に、

甲谷さんの支援の会の立ち上げの時に、由良部先生からお知らせの文章を頂いた。

その中にあった詩を、転載させていただきます。

NY大学のリハビリ研究所の壁に一人の患者さんが残したもの。



大きなことを成し遂げるために

力を与えてほしいと神に求めたのに

謙遜を学ぶようにと 弱さを授かった




偉大なことができるように

健康を求めたのに

よりよきことをするようにと 病気を賜った




幸せになろうとして

富を求めたのに

賢明であるようにと 貧困を授かった




世の人々の賞賛を得ようとして

成功を求めたのに

得意にならないようにと 失敗を授かった




求めたものは一つとして与えられなかったが

願いはすべて聞きとどけられた

神の意に添わぬものであるにもかかわらず

心の中に言い表せない祈りはすべて

叶えられた

私は 最も豊かに祝福されたのだ

、、、