冥途の飛脚
午前休を取って、「冥途の飛脚」という、文楽(人形浄瑠璃)の映画を観に行った。
三浦しをんの「仏果を得ず」という文楽青春小説(?)がとても良くて、実際の文楽が観たくなって、でも実際の文楽はなかなかやってなくて。
あとは、落語には「寝床」「どうらんの幸助」と文楽の出てくる話が多いので。
昭和54年に、出演陣全員が当時あるいは後に人間国宝、という伝説の舞台を、海外の人が監督して映画化したもの。
すごく疲れていたし眠かったのだけれど、観終わってしばらくして、明らかに元気になっていた。生で観た人が受けたものは、いかほどだったんだろう。
後で、32年前の作品と知ってびっくりした。
女人形がしゃくり上げながら泣くリアルさもただごとではなかったが、
人形を操ってる人形使いが、人形がしゃくり上げるのと同時にしゃくり上げるように呼吸しているのからも、目を離せない。
人形と、操り手、双方に目が行ってしまいながら、(それどころか三味線や大夫の顔にも意識をやってしまいながら、)総体としてそのキャラや場面に引き込まれてしまう。
重層の力の不思議さ。
同じく三浦しをんの「あやつられ文楽鑑賞」というエッセイに、筆者が文楽の大夫に質問する場面がある。
「楽屋の部屋割りはどうやって決めるんですか?」
「なんとなくですね」
「じゃあ、気分次第で変わるんですね。」
「ええ、たまに変えますよ。この部屋割りになってからは、10年ぐらいですかね。」
「たまに」という表現が、10年サイクルを指す文楽の世界の時間の流れに、明らかに励まされた気がする。
テアトル梅田で、30日(金)まで。
http://bunraku-movie.com/index.html
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